「データ分析や自動化をしたいが、違いがよく分からない…」
私自身もかつては同じ悩みを抱えていました。Excelマクロ(VBA)で業務を効率化した経験もあれば、Pythonを使ってAIやデータ分析を実務に取り入れたこともあります。両方に触れてきたからこそ「どう使い分けるべきか」がはっきり分かるようになりました。
この記事では、PythonとVBAの基本的な違い、それぞれでできること・できないこと、実務での使い分けのコツを解説します。これを読めば、あなたの目的に合わせて最適な言語を選べるようになるはずです。
基本的な違い(概要)
| 項目 | Python | VBA |
|---|---|---|
| 開発元 | オープンソース | Microsoft |
| 主な用途 | 汎用プログラミング、データ分析、AI、Web開発など | ExcelやWordなどOffice製品の自動化(マクロ) |
| 実行環境 | クロスプラットフォーム(Windows / Mac / Linux) | 主にWindowsのOfficeアプリ内 |
| 学習コスト | やや高め(自由度が高い) | 比較的低め(Excelユーザー向け) |
ここで重要なのは、Pythonは汎用性の高さ、VBAはExcelとの親和性に強みがある点です。
たとえば私は、数十人が提出する週報をVBAで自動集計してPDF化する仕組みを作ったことがあります。従来は担当者が1つずつ手作業でまとめていたものが、ボタン一つで完了するようになり、業務時間を大幅に削減できました。
また、図面管理台帳を電子化し、品番を入力するとフォルダ内の図面をチェックし、次の承認者に自動でメールを送る仕組みをVBAで構築したこともあります。紙ベースで煩雑だった業務が一気にスムーズになり、社内でも高評価を得ました。
一方Pythonでは、過去の見積もりデータをもとに金額の妥当性や上昇率を分析し、将来の価格交渉に活かせるような仕組みを作りました。こうした「データ分析」や「数値の客観的評価」は、Pythonならではの強みだと実感しています。
できること(分野別)
実務でよく比較される場面をまとめました。
| 分野 | Python | VBA |
|---|---|---|
| Excel操作 | ◎(openpyxl, pandas, xlwings 等で高度な操作可) | ◎(ネイティブに強く、マクロで即対応) |
| データ分析・統計処理 | ◎(pandas, numpy, scipy 等で本格分析) | △(ピボットや関数で簡易集計は可能) |
| グラフ作成 | ◎(matplotlib, seaborn 等で自由度高) | ○(Excelのグラフ機能を利用) |
| Webスクレイピング | ◎(requests, BeautifulSoup 等で柔軟) | ×(基本的に向かない) |
| 機械学習・AI | ◎(scikit-learn, TensorFlow, PyTorch 等) | ×(基本的に非対応) |
| ファイル操作(CSV / JSON / PDF) | ◎(多彩なライブラリで対応) | △(CSVは得意、JSON/PDFは苦手) |
| Webアプリ開発 | ◎(Flask, Django 等) | × |
| 自動化(RPA的) | ○(pyautogui, selenium 等で対応可能) | ○(Office内の操作は得意) |
Pythonは「AIやデータ分析」といった分野で圧倒的に強く、VBAは「Excel業務の即効効率化」で頼れる存在です。特にデータ量が多い場合や、将来のスキル応用を考えるならPythonに軍配が上がります。
苦手・できないこと(注意点)
- Office製品との密接な連携はVBAが有利。Pythonはライブラリを介する必要あり。
- Excelの高度なUI(UserFormなど)はVBAが簡単。Pythonだと実装工数が増える。
- クロスプラットフォームな業務環境ではPythonが有利。VBAはWindows依存が大きい。
私の体験では、Excel業務をそのまま効率化するならVBAが最短でしたが、社内のデータを横断的に活用したり、外部サービスやAPIと連携したいときはPythonの柔軟性が非常に役立ちました。
使い分けのヒント(実務目線)
- Excel内で完結、既存マクロ資産を活かす → VBA優先
- 大量データ・AI・Web連携が必要 → Python優先
- 社内マクロ修正はVBA、将来的な拡張はPython
- Windows以外の環境や外部サービス連携ではPythonの方が保守性◎
実際の現場でも「まずはVBAで即効改善、徐々にPythonを取り入れてスケールアップ」というケースが多いです。
導入と学習の進め方(おすすめ)
- 目的を明確にする:「Excelのルーチンを自動化したいのか」「データ分析をしたいのか」
- Excel中心 → VBAを学ぶ:マクロ記録、UserForm、Officeオブジェクトモデル
- 大量データ・外部連携 → Pythonを学ぶ:pandasでのデータ操作、requestsでのAPI、Webスクレイピング
- 両方使えれば最強:xlwingsやopenpyxlでPythonからExcel操作+既存VBA活用
学習リソースとしては、公式ドキュメント・Udemyの入門講座・YouTubeの解説動画・小さな実務課題を想定したハンズオンが効果的です。
私自身も「紙台帳の電子化」や「承認フローの自動化」をVBAで改善しつつ、Pythonで過去の見積もりデータを分析する仕組みを作り、より戦略的に業務に活かせるようになりました。こうした小さな成功体験が、スキルの定着にもつながります。
まとめ(結論)
PythonとVBAは対立するのではなく補完関係にあります。
Excel業務を即効で効率化したければVBA、大量データやAI・Web連携など拡張性を求めるならPython。まずは小さな業務を自動化し、成果を出すことが学習の近道です。
さらに、このスキルは本業の効率化だけでなく副業やキャリアアップにもつながります。例えば、CrowdWorksやLancersには「Excelマクロ改善」や「データ分析」の案件が多数あり、実務で培ったスキルを活かせるチャンスがあります。
将来的には両方を使い分けることで、あなたのスキルは大きく広がり、働き方の選択肢も増えていくでしょう。

