製造業転職で「派遣会社の正社員」に騙されかけた話|求人票で見抜く3つのポイント
半導体メーカー5年 → CAD設計13年目の現役製造業エンジニア。転職活動時に「派遣会社の正社員」求人に騙されかけた経験あり。製造業キャリアのリアルを発信中。
「○○株式会社(大手メーカー)の正社員、未経験OK、地元勤務」
転職サイトでこの求人を見つけたとき、僕は素直に喜びました。でも応募後に求人票をよく読み直すと、折りたたまれた項目の中にこう書かれていたのです。
――応募先のメーカーの正社員ではなく、派遣会社の正社員。
これが、製造業転職でいちばん多い「グレーな求人」の正体です。
僕自身、エントリー直後にこの仕掛けに気付いて踏みとどまりました。ただ、同じパターンで入社まで進んでしまう人は今も後を絶ちません。
この記事では、製造業エンジニア13年目の僕が、実際に騙されかけた体験をもとに、「派遣会社の正社員」求人の見抜き方を3つのポイントに整理して共有します。
この記事でわかること
- 「派遣会社の正社員」と「メーカーの正社員」の決定的な違い
- 製造業に派遣の正社員求人が多い構造的な理由
- 僕が騙されかけた具体的な手口とタイムライン
- 求人票で派遣求人を見抜く3つのポイント
- 安心して使える製造業向け転職サービスの選び方
結論:「未経験OK・大手メーカー名・好条件」が揃ったら、まず派遣を疑え
先に結論です。
製造業の求人で次の3つが揃っているものは、派遣会社の正社員(いわゆる無期雇用派遣)である可能性が極めて高い。
- 大手メーカーの名前が前面に出ている
- 未経験OK・学歴不問
- 地元・希望勤務地で年収もそこそこ
なぜか?
正社員として大手メーカーが未経験を採るほどの余裕は、ほとんどの場合ないからです。
条件が良すぎる求人は、たいていメーカーではなく派遣会社が出しています。
ここを知らずに進むと、入社してから「あれ、自分はどこの社員なんだ?」となる。僕はギリギリで気付けましたが、知っていれば最初から避けられた話です。
「派遣会社の正社員」とは何か
メーカー正社員と何が違うのか
| 比較項目 | メーカーの正社員 | 派遣会社の正社員(無期雇用派遣) |
|---|---|---|
| 雇用主 | A社(メーカー) | B社(派遣会社) |
| 給与の支払元 | A社 | B社 |
| 評価・昇給 | A社の人事評価制度 | B社の評価(現場の声は参考程度) |
| 配属先 | A社の中で異動 | プロジェクト単位でC社・D社にも派遣 |
| プロジェクト終了時 | A社内で別業務へ | 次の派遣先を待つ「待機期間」が発生することも |
| キャリアの主導権 | A社次第 | B社の営業判断次第 |
雇用は安定している(無期雇用なので雇い止めは原則ない)一方で、「自分の所属企業=働いている現場の企業ではない」という構造が決定的な違いです。
製造業に多い理由
製造業はプロジェクト単位の人員調整が激しく、メーカー側は 「正社員で抱えるリスク」を派遣会社に外注しています。
- 半導体・自動車・電機の大手は、設計補助・CADオペ・評価業務などを派遣会社にまるごと委託している
- 派遣会社側は「常用型派遣(無期雇用派遣)」として人を抱え、複数のメーカーに送り出す
- 求人広告では「○○メーカーで働けます」を前面に出したほうが応募が集まるので、雇用主の派遣会社名は控えめに記載されやすい
この構造を理解しておくと、求人を見る目が一段階上がります。
僕が騙されかけた経緯|タイムラインで再現
時系列で書くと、こうです。
2. 応募 → 4時間後に固定電話、出ないと携帯、出ないとメッセージ。担当者がやけに早い
3. 求人をもう一度確認 → 折りたたまれた項目の中に「雇用形態:△△株式会社の正社員」の文言を発見
4. 担当者に「メーカーの正社員ではないんですよね?」と確認
5. 担当者「実績が認められれば、正社員になれる可能性もあります」
6. ……話が違う。エントリーの段階で気付いてよかった
「正社員になれる可能性もあります」という回答は、裏を返せば 「なれない可能性のほうが普通」 という意味です。実態として、派遣からメーカー正社員への登用は年に数人レベルの会社がほとんどです。
僕の場合、書類提出前で踏みとどまれたので時間ロスはわずか。ただ、ここで気付かず進むと、職務経歴書を作り、面接を受け、現場見学までして、内定直前に雇用契約書で「あ、派遣会社との契約か」と気付くことになります。そこから断るのは精神的にかなりキツいです。
求人票で見抜く3つのポイント
これさえ覚えておけば、僕と同じ失敗はほぼ回避できます。
ポイント①:「雇用形態」を最初に開く
求人票で見るのは、年収でも勤務地でもなく、まず雇用形態です。
製造業の派遣求人は、ここに必ずヒントがあります。
こういう表記は派遣会社の正社員:
- 「正社員(無期雇用派遣)」
- 「常用型派遣」
- 「正社員型派遣」
- 「雇用形態:当社の正社員。配属先:○○株式会社」
これらはすべて 派遣会社の正社員 を意味します。「正社員」とだけ書かれていて自社名と勤務先名が違うパターンも要注意。
加えて、求人票の「続きを見る」「もっと表示」のような 折りたたみの中に雇用形態が隠れていることが僕の体験では多かった。折りたたみは必ず開いて読むを癖にしてください。
ポイント②:「スポンサー求人」「PR求人」のラベルに警戒する
僕が応募したのも、転職サイトで「スポンサー求人」と表示されたものでした。
スポンサー求人は 広告枠を買って上位表示している求人 です。広告費を払えるのは、応募単価が高くても回収できるビジネスモデル、つまり 派遣会社や紹介会社であることが多い。
メーカー直接の中途求人は、コーポレートサイトの採用ページか、エージェント経由で出てくるのが基本。求人サイトで派手にスポンサー枠を取っているメーカー求人は、まず雇用形態を疑いましょう。
ポイント③:「プライベートオファー」や「特別スカウト」を真に受けない
転職サイトの「あなただけの特別オファー」「面接確約」「今だけ」――こういうスカウトは、登録者の経歴データに合わせて自動配信されているテンプレであることが大半です。
僕もこのオファーを真に受けて担当者と話したことがありますが、いざ電話になると「正直、面接通るのは2〜3割で難しいですよ」と遠回しに言われ、やる気が一気に下がった経験があります。
特別オファーに「自分は選ばれた」と思い込まないこと。これも派遣求人に流れ込みやすくなる心理的な落とし穴です。
13年経って分かった、もうひとつの本音
派遣の正社員という働き方そのものを否定したいわけではありません。
実際、無期雇用派遣には、
- 未経験から大手メーカーの現場に入れる
- 雇用は無期なので安定している
- 教育制度が整っている派遣会社もある
というメリットがあり、「最初の踏み台」としては合理的な選択肢になり得ます。
ただし、「メーカーの正社員」と「派遣会社の正社員」は、年収カーブもキャリアの主導権もまったく別物。求人を見て応募する側が、この違いを理解した上で意思決定する必要があります。
ここを知らずに進むのが、いちばん損です。
製造業転職で派遣求人を踏まないためのサービス選び
最後に、派遣求人を踏みたくないなら、求人の出どころが明確なエージェントを選ぶのが鉄則です。
僕自身、最初は転職サイトの求人を自分で選別していましたが、派遣の罠に気付いてからは「メーカー直接雇用の求人だけを扱うサービス」を使うようにしました。
エージェント経由なら、応募前に「これはメーカーの正社員ですか?派遣ですか?」と確認できます。自分で求人票を精査する負担が激減するので、転職活動の効率も上がります。
製造業特化のサービス1つ + 総合型エージェント1つの2サイト並行登録。特化型で製造業の求人を眺めつつ、総合型のエージェントに雇用形態の見抜き方をぶつけて検証すると、派遣求人に当たる確率がほぼゼロになります。
「雇用形態が明確か」「直接雇用の比率」まで含めて本音で比較しました。
PICK UP
派遣の罠を回避して
メーカー正社員で年収500万超になった転職体験談
手取り16万・派遣求人に騙されかけた経験も経て、
東証プライム企業に直接雇用で転職した全記録です。
まとめ|製造業の「いい求人」は、いったん雇用形態を疑え
最後にもう一度、3つのポイントを置いておきます。
- 雇用形態を最初に開く――折りたたみの中に隠れていることが多い
- スポンサー求人・PR求人は派遣の可能性大――広告予算をかけられる出稿元を疑う
- 特別オファーを真に受けない――テンプレ配信であることがほとんど
「条件が良すぎる求人は、誰かが得をする仕組みになっている」
製造業転職の世界でいちばん最初に覚えておくべきルールです。
派遣の正社員も使い方次第ではアリですが、それは知った上で選んだときの話。
「メーカーの正社員になれるはず」と思い込んだまま進んで、後で違ったと気付くのが一番つらい。
僕と同じ遠回りをしないために、この記事が役に立てば嬉しいです。
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